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日本の映画美術を代表する巨匠、木村威夫が監督した「OLD SALMON 海をみつめて 過ぎた時間」は、
ジャンルでいえば「音楽映画」ということになるのだろうか。
ただ、観客が一貫したまとまりのあるストーリー、音楽と映画とが一体化した統一感を期待するならば肩すかしを食うだろう。
たしかに、「赤いひも」というオブセッションのように繰り返されるイメージは出てくるのだが、
それも映画を前に進めていく狂言回し以上の役割をつとめているわけではない。
むしろ、この映画の観客として最もふさわしい態度は、
83歳の現役シャンソン歌手、深緑夏代さんをはじめとするさまざまな「声」の共振にどっぷりと浸ることなのだろう。
いわば耳で視て、眼で聴くこと、あるいは心で触り、指で味わうこと。
五官が混じりあい、ゆるやかに渦巻く中で、それぞれにとっての「OOL SALMON 海をみつめて 過ぎた時間」
が立ち上がってくるのでは ないだろうか。

 

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