Cinematic Voices Vol.14



はじめてオルガのピアノの音を聴いたのはもう十年近く前のこと。
冬のコペンハーゲンの夜、雪ではなく冷たい雨が降っていたかのような記憶がある。
寒くって逃げ込んだクラブで彼女のグループはフリー・ジャズを演奏していた。
サックスとベースとパーカッションとポエトと彼女のピアノだったと記憶している。
なぜだろう、すぐにぼくは彼女のピアノの音に魅了されてしまった。
彼女が言うアブストラクトな音型にも、グループの緊密な演奏にもさほど興味を持つことはなかったのかもしれないが、ただ、彼女のピアノのタッチが紡ぐ音の奥深さに、なぜだろう?
彼女の足跡をたどる旧ソ連、ポーランドそして北欧が内包していた、音の響き、豊かに広がるようでいながら、きびしく、冷たい音に、まったく魅了されてしまった。
そのような彼女のピアノの音を軸として12月14日には多彩なミュージシャンが荻窪に集う。
古舘徹夫

■日 時:2010年12月14日(火)開場 19:30/開演 20:00
■会 場:荻窪ベルベットサン
■料 金:2,000円
■予 約:lamu@kt.rim.or.jp (エアプレーン レーベル)
■出 演:オルガ・マギェレス, 足立智美, 有馬純寿, Saichi, クリストフ・シャルル,
     古舘徹夫, 川端潤, 畠山地平

Cinematic Voices Vol.14
● 12.14 (tue.) @ Ogikubo Velvetsun
Open 19:30 Start 20:00
2,000yen
LIVE
Olga Magieres
Tomomi Adachi
Sumihisa Arima
Saichi
Christophe Charles
Tetsuo Furudate
Jun Kawabata
Chihei Hatakeyama


◆ Olga Magieres/オルガ・マギェレス (from:コペンハーゲン)
旧ソビエト連邦(現、ベラルーシ共和国)モロジェーチノにポーランド系ユダヤの家系に生まれる。
1971年、デンマークへ移住。王立ユトランド音楽院その後、王立デンマーク音楽院(コペンハーゲン)でGeorgyi Vasarhelyi、ジョン・ダムガード(現:武蔵野音大客員教授)、ヘアマン・D・コペル(1908-1998)らのもとでピアノを専攻する。
1986年よりインプロビゼーション音楽及び作曲活動を開始。多くのパーフォーマンス・プログラムを主宰し、作品を発表する。デンマークを中心にスウェーデン、ノルウェー、ドイツ、イタリア、ポーランド、イスラエルなどで数多くのコンサートを開いている。
関係するアーティストとしては;
Peter Friis Nielsen, Stefan Pasborg, Lotte Anker, P.O. Jørgens, Martin Klapper, Sture Ericsson, Morten Carlsen, John Tchicai, Adam Boohman, Harold Rubin, Leif Elgreen, Al Masson, Doris Bloom, Anna Zielinska など。
共演した日本のアーティストには、足立智美、山崎慎一郎、紙田昇、古舘徹夫などがいる。
http://www.magieres.dk/

<ディスコグラフィー>
『Skraep』(1993)
『Skraep II』(1996)
『Skraep III』(1998)
『Piano and Poetry』(2006)
『Unnamed』 (2008)
NEW CD from MonotypeRec. (Poland)
『Introduction of “Blue of Noon”』(2010)
with 古舘徹夫 クリストフ・シャルル(朗読)


◆ 足立智美
パフォーマー/作曲家。ヴォイス、各種センサー、コンピュータ、自作楽器によるソロ演奏、音響詩、舞台音楽など幅広い領域で活動し、ヤープ・ブロンク、ニコラス・コリンズ、高橋悠治、坂田明、一柳慧、五世常磐津文字兵衛、カール・ストーン、飯村隆彦、伊藤キム、猫ひろしらと共演。
またインスタレーション作家、映像作家としてもキャリアがあり、非音楽家との大規模なアンサンブルのプロジェクトもおこなう。テート・モダン(ロンドン)、ポンピドゥー・センター(パリ)、STEIM(アムステルダム)から香港の床屋、ケルンの地下道まで世界各地のありとあらゆる場所で公演をしている。
また2007年にサントリー・サマー・フェスティヴァルでジョン・ケージの『ユーロペラ5』の日本初演の演出を手がける。2009年から2010年まで「ACC」の助成でニューヨーク滞在。CDに足立智美『ときめきのゆいぶつろん』「naya records」、「足立智美ロイヤル合唱団」『yo』「Tzadik」などがある 。
http://www.adachitomomi.com


◆ 有馬純寿
エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、ノイズ、アヴァンギャルド、即興演奏、現代音楽などジャンルを横断する活動を国内外で展開しており、作品もライブ・パフォーマンスからCD、サウンド・インスタレーションなど幅広い。会田誠、小沢剛、松蔭浩之らとのアーティストグループ「昭和40年会」をはじめ美術家とのコラボレーションも多く、国内外の展覧会への参加も多い。
また現代音楽作品の電子音響の演奏家としても、さまざまなソリストや室内アンサンブルとともに多くの作品の初演に携わるなど高い評価を得ている。
現在、帝塚山学院大学准教授。
ソロCDに『Archipelago』、『A Study in helix』などがある。
http://www.40nen.jp/arima/


◆ Saichi
「THEなかぞの」の元ベーシスト。1981年に実験音楽ユニット「KADAN」を結成し現在に至る。
他に1984年から「冒険の日々」のギタリストとしてコンサート活動をおこなっている。
http://www.youtube.com/watch?v=Dbmmo6Wj5io&feature=related


◆ Christophe Charles/クリストフ・シャルル
2000年より武蔵野美術大学映像学科准教授。
環境芸術学会理事。メディアアートを専門に、現代芸術における理論的・歴史的な研究を行いながら、内外空間を問わずインスタレーション及びコンサートを行っている。
主な作品として、CD作品:『undirected』 シリーズ(「Mille Plateaux」, 「Subrosa」, 「CCI」, 「ICC」, 「Code」, 「Cirque」, 「Cross」, 「X-tract」レーベル などでリリース)やパブリックアート作品:大阪市住まい情報センターモニュメント(山口勝弘監修)音響担当、東京成田国際空港第一ターミナル中央アトリウム常設サウンド・インスタレーション。また、山口勝弘、山本圭吾、風倉匠、Henning Christiansen、 逢坂卓郎、向井千惠、古舘徹夫、 武井よしみち、Oval、半野喜弘、Numb、石川ふくろう、JOU、久保田晃弘、渋谷慶一郎などとのコラボレーションを多数行っている。
http://home.att.ne.jp/grape/charles/


◆ 古舘徹夫
ノイズ・コンサートを継続する一方、2003年頃からシアター作品、ラジオ作品など物語とサウンドの共存を指向している。
それらの作品の多くは欧州で上演/放送され、ドレスデンで上演された『ロデリック・アッシャー氏の聴覚』はドレスデン現代音楽祭でビューリューブリッケ賞を受賞。
ドイチェンランド・ラジオによって放送された『求塚』はインターナショナル・ラジオ・アート・フェスティバルに入賞。
その後も『ヒロシマ』『ゴヤ』等、物語とノイズの間を横断する作品を発表している。
http://www.myspace.com/tetsuofurudate
Photo by Michael Searson


◆ Jun Kawabata
作曲家/写真家。1997年ジャズ、ブルース、ノイズ、実験音楽にスポットをあてた音楽レーベル「AIRPLANE LABEL」を創設。アルバム『Absolute Elsewhere』などを発表。
近年は『OLD SALMON 海を見つめて 過ぎた時間』(2006)『馬頭琴夜想曲』(2007)『夢のまにまに』(2008)『黄金花-秘すれば花、死すれば蝶-』(2009)『ONE SHOT ONE KILL』(2009)『名前のない女たち』(2010)などの映画で音楽を担当している。
http://www.so-far.jp/


◆ Chihei Hatakeyama
ソロ活動の他に電子音楽ユニット「Opitope」、佐立努との「Luis Nanook」、ダブ・ロックバンド「All The Frogs Are Our Weekend」としても活動。
独自の楽曲制作の他、映画などにも楽曲を提供。
2006年に「Kranky」よりファーストアルバムをリリースし、世界中から何重にもプロセッシングされた楽器音が構築する美しい音色が評価された。
以後各国のレーベルから積極的に作品の発表を続けている。
http://www.chihei.org/