ピアノ曲『DVがなくなる日のための 「インテルメッツォ(間奏曲)」』



「インテルメッツォ」は
ぼくの音楽の中でも
異色な曲です

突然
カウンセラーの草柳さんからの
電話

最初は
作曲の見通しが
見えなかったです

DV被害者の方と
打ち合わせの会を持ちました

皆さんの体験談
ぼくの即興演奏

即興演奏は
表面的な表現になって
途中、苦しく
逃げ出したくって
それでも
演奏を続けました

ずーっと演奏したら
少し
光が見えたような
気がしました

光が見えたような
即興演奏の
最後の和音の続きとして
作曲したのが
「インテルメッツォ」です

一気に作らずに
少しずつ
探すように
曲を作りました

(野村 誠)
ドメスティック・バイオレンス(略称:DV)とは‥‥

夫婦・恋人などの親密な関係で、主に男性からパートナーの女性に対する暴力
のことを指します。身体的暴力だけでなく、精神的暴力、性的暴力なども含み
ます。1997年に行われた東京都の調査では、20〜64才の女性の約1/3が、夫
などの男性から何らかの暴力を受けていることが明らかとなりました。近年、
DVは重大な社会問題として認識され、2001年10月にはDVの防止のための法
律が施行されています。

ピアノ曲委嘱者の言葉:草柳 和之

この曲の初演は、私がDV問題に携わる関係者に提唱して準備を重ねた末、2001
年10月21日に開催された画期的イベント《DV鎮魂の会》において行われまし
た。このイベントは、亡くなった被害女性の追悼と、現在生きている全ての被
害女性が援助ネットワークにつながるよう祈念するセレモニーを中核に、作曲
者による本曲初演/DV被害・加害の取組みに関する対談/という3部で構成さ
れたものです。イベント開催を通じて、DV問題啓発の新しいツールとしての
「社会に必要な音楽」を産み出したのです。この曲は既に楽譜も販売しており、
個人的に聴いて楽しむだけでなく、イベント等の際にもぜひ活用して下さい。
この曲は作曲者のご好意により、演奏時の著作権がキャンセルされ、どのよう
な機会でも自由に演奏が可能です。イベントで演奏されたり、曲が流されたり
することは、DVをなくそうとする思いが、音楽というシンボルの形をとって
伝わり続けることを意味します。この曲が、DV問題に対する社会全体の注目
度を高め、意識啓発の促進をはかるための新しい仕掛けとなるよう、多くの方
の手で成長させていって下さい。
この曲の活用法として次のようなものがあります。例えば、この曲はチャリテ
ィー・コンサートの曲目に入れることがふさわしい内容と思われます。また、DV
の講演会・シンポジウムを行う際に、イベント冒頭などの適切な機会に演奏し、
会場の参加者の気持ちを共有するプログラムの一つとしても活用できます。さ
らに、私がプロの演奏家とお会いした機会に、この曲の楽譜を贈呈しています。
コンサートの曲目に入れば、聴衆がそのプログラムの曲目解説を読むことによ
って、DVの存在を知ることとなり、広く問題意識を喚起する機会となります。
一方、委嘱者である私自身が講演を依頼された際に、DV問題解決のために必
要な内容を言葉で伝えるだけでなく、“講演+本曲のピアノ演奏”という新しいス
タイルの講演活動を展開しています。多くの方から様々なアイデアが提案され、
この曲に内在する豊かな可能性が引き出されることを期待しています。


野村 誠:プロフィール

8歳より作曲を始める。代表作に、 「踊れ!ベートーヴェン」(ジャワガムラン)、「だるまさん作曲中」(ピアノと管弦楽)、「神戸のホケット」(鍵盤ハーモニカアンサンブル)、「52×51」(箏アンサンブル)など。ピアノや鍵盤ハーモニカでの演奏活動、様々な共同作曲プロジェクトも行う。


草柳 和之:プロフィール

メンタルサービスセンター代表・カウンセラー。
東京大学セクシャルハラスメント相談所・カウンセラー。元桐朋学園大学講師。日本ホリスティック医学協会理事。従来ほとんど諦められてきた暴力のある男性への体系的心理療法に日本で初めて取り組み、TV・新聞等のマスコミを通じて大きな注目を集めてきました。男性の暴力のないライフスタイルを支援するとともに、広く男性の意識改革を提言しています。著書に『ドメスティック・バイオレンス−−男性加害者の暴力克服の試み』(岩波ブックレット・岩波書店)、共著に 『人権文化を育てる本 DV〜女性からのSOS』(ぎょうせい)、他があります。





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