サウンド・アートという用語が一般に認知されて既に久しい。'90年代には多くのアーチストが非常に優れたマテリアルを排出してきた。ノイズ、ミニマル、音響派、そしてインタメディアの中に..... 欧米に於いて、それらのジャンルに"from Japan"と銘打たれたイヴェントも今では珍しいことではなく、それはこの分野での日本のアートスト達の成果を物語っている。しかし、デジタルテクノロジーが普及するにつれ、アーチストの意図とは関係なく、そのマテリアルは均質化し、そしてより一層テクノロジーとの関係の上にメタ化していくように思われた。そこでアーチスト達は、サウンドに対してよりフェティッシュな方向に突き進むか、あるいは非常に知的な努力と情報収集をして、他のメディアに関わり、コンセプチュアルな洗練に走ったケースも多いのではないかと思う。
そうしたサウンド・アートシーンの中に混在しながらも、 最近、異なった動き見せる"影"、あるいは逃走しようとするかの"影"が気になり始めている。今回、"Airplane Label"では初めてのサウンド・アートプログラムをプレゼンテーションするにあたって、サウンド・アートシーンに於ける、そうした"影"、あるいは"LE DOUBLE INAUDIBLE / 聽えざる分身"(*)とも言うべき、独自のサウンド・タームを持って活動するアーチスト達を紹介したと思う。

(*)コンサートタイトルは渡邊ゆりひとの詩作品からの引用である。